どんどん橋、落ちた - 読了

プリズムに引き続き、うみねこ好きオススメ小説であるところの『どんどん橋、落ちた』を読みました。


プリズム - 読了 - Haitena だいありー


Wikipediaにあるように、

彼の作品の多くに見られる大きな特徴としては、読者の意表を突くような大どんでん返しのあるストーリー構成である。叙述トリックを得意とする。

「そんなのあり?」といった結末が多い。


どんどん橋、落ちた (講談社文庫)


収録話は全5編。

  • 第一話 どんどん橋、落ちた
  • 第二話 ぼうぼう森、燃えた
  • 第三話 フェラーリは見ていた
  • 第四話 伊園家の崩壊
  • 第五話 意外な犯人

読む際の注意点としては、前から順番に読め、とのことです。
それはこの作品集が、前の話を読んで読者が"学習"することを前提に謎が組み立てられているためです。


本書が他の推理小説と違うのは、事件は作中作、作中劇として繰り広げられ、それを推理する人たちも描写されており、読者の視点はさらに上の次元にあることになる点です。
つまり、メタ要素たっぷりです。ちなみに俺はこういった"メッタメタにしてやんよ"風味なのは大好きです///
このような構成になっているのには、文庫版あとがきに書かれているようように、

ちょっと大袈裟な云い方をするなら、自分の在り方はこれでいいんだろうか?

そんな思いのもと書かれたため。
新本格派ミステリとはこのようなものだと作者が考えるところのものを読者に、むしろ自分自身に確認するための小説である、と。


第五話で作者が云いたかったことを、俺は汲み取ることが出来なかった(何を云わんとするかよく分からなかった)のでアレだが、第四話で"綾辻君"が講釈を垂れる場面があるんですが、それこそがまさに在り方、貫き通す信念、(作者が考える)新本格ミステリなんじゃないだろうかと思いました。そしてこれがうみねこスキーな人(かつ普段推理小説をあまり読まない人)が本書を読んで得られる知見を明文化したものではないかと思います。西尾維新さんもこの流れを汲んでのものだと思われます。


……ただ、普段ミステリを愛好しない人、少なくとも俺はこれまでに綾辻さんの作品を読んだことがなくていきなり本書を読んだワケで……元ネタが全く分からなかったorz何となく作家の名が使われている気がするなとは思ったけれど、綾辻先生の他書の登場人物だったというのは分からなかった。これを機にミステリを読みだすというのは結構稀な、いや邪道なんじゃないだろうか――。


そんなことを思ったり、思ったり。


どんどん橋、落ちた (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
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おすすめ度の平均: 3.5
5 額縁構造の短篇ミステリの連作集
3 タイトルであったりシチュエーションは大変良いのですが・・・
1 読むのがつらい
2 低俗、中学生の落書き。
3 綾辻行人ファンのための短編集